CPL(環状重合乳酸)とは、天然由来の乳酸のひとつであり、環状ポリ乳酸とも呼ばれています。日本で発見され達物質であり、世界初の人工合成にも成功しました。CPL(環状重合乳酸)はジャガイモやサトウダイコンを発酵させて加熱や脱水処理をおこなうことで生成されますが、体内でもごくわずかに生成・分泌されています。無色・無臭で吸湿性が高く、清涼感のある苦みがあります。
乳酸といってもさまざまな種類がありますが、CPL(環状重合乳酸)の大きな特徴は乳酸分子の形状にあります。通常の乳酸の分子は線状ですが、CPL(環状重合乳酸)の分子は環状(輪のような形)や螺旋状。3~23個の乳酸分子が環状や螺旋状となったものをCPL(環状重合乳酸)とし、乳酸分子の結合の仕方によって性質が異なるといわれています。
野嶽勇一氏や深澤昌史氏、榊原隆三氏らによって2010年に発表された論文「環状重合乳酸のガン細胞増殖抑制効果」によると、CPL(環状重合乳酸)のがん細胞の増殖を強力に抑制する性質が報告されています。その性質を活かして機能性食品や抗がん剤への応用を試みており、がん患者を対象とした臨床試験もおこなわれているのだそうです。[注1]
オリゴ乳酸(LAC)とCPL(環状重合乳酸)は、同じ乳酸からできているという共通点があります。
しかし分解や縮合を経て分子構造が変化しており、形状が異なります。オリゴ乳酸(LAC)の乳酸分子は線状ですが、CPL(環状重合乳酸)は先述したように環状や螺旋状なのです。分子の形状や大きさによって働きも異なるといわれていますから、「オリゴ乳酸(LAC)とCPL(環状重合乳酸)は分子の形状が異なり、もっている性質や効果も違う」ということになります。
【オリゴ乳酸(LAC)】
形状:線状
効果:血流改善や便通サポート、血糖値の上昇を緩やかにする、風邪や感染症・アレルギーなどの予防
【CPL(環状重合乳酸)】
形状:環状(輪のような形)または螺旋状
効果:がん細胞の増殖抑制効果が報告されている
CPL(環状重合乳酸)は近年の学会でオリゴ乳酸と呼ばれることもあり、同じポリ乳酸の仲間としてオリゴ乳酸(LAC)と同一視されるケースも少なくないようです。しかし厳密にはオリゴ乳酸(LAC)とCPL(環状重合乳酸)は異なる成分であり、形状や効果にも違いがあります。
腸を善玉菌が増えやすい酸性に導き、腸内環境を整えるオリゴ乳酸。近年、新たな腸活成分として注目を浴びています。オリゴ乳酸研究の第一人者・山口博氏監修のもと、その働きをまとめました。