甘味料でも知られているオリゴ糖は、砂糖よりも健康に良い甘味料であり、腸内環境を整えてくれる食品でもあります。
そんなオリゴ糖と似たものとして「オリゴ乳酸」が挙げられますが、オリゴ乳酸と聞いてもすぐには違いがわからないかもしれません。ここでは、オリゴ糖とオリゴ乳酸の違いについて紹介します。
オリゴ糖の働きについてみていきましょう。
オリゴ糖は単糖が2つ以上結合してできた糖類で、天然の植物の中に含まれています。体の中で腸内環境を整え、善玉菌を活性化させる物質「プロバイオティクス」としても働きます。
善玉菌が活発になると、便通が良くなるほか免疫機能が高まり、ガンへの免疫力も向上。その他体の中での抗炎症作用や脂質代謝にも有効に働くとされています。
オリゴ糖は、大腸に達すると腸内細菌が発酵させ、乳酸などを生成します。
乳酸は「有機酸」と呼ばれ、腸内を弱酸性の状態に保ちながら悪玉菌の増加も抑制。さらに大腸に多く棲息しているビフィズス菌の栄養分にもなります。
オリゴ糖は腸内環境の正常化に役立ちますが、薬のような即効性はないため一度の摂取で効果が得られるものではありません。オリゴ糖の効果を継続的に得るためには、効果的な方法でオリゴ糖を摂取し、同時に乳酸菌も補っていく必要があります。
オリゴ糖は天然由来の甘味であり、砂糖の代わりに使うことができます。次はオリゴ乳酸の働きについて説明します。
オリゴ乳酸は、自然界に存在する有機酸である「L型乳酸」を原料とした乳酸の混合物です。トウモロコシやサトウダイコンなどを由来とし、過熱や粉砕などを行なってから粉末にして製品化されています。
乳酸がいくつか連結することで乳酸オリゴマー(乳酸重合体)となり、この乳酸の連結によって体内で乳酸を直接摂取できるようになります。すでに健康な日本人女性を対象とした試験では、オリゴ乳酸を一日に300mg摂取することで便通の改善効果が確認されています。
また、オリゴ糖は乳酸が連結していることで乳酸を体内に摂取し、乳酸菌の増殖を促します。これにより乳酸菌の定着率がアップし、血流改善や免疫力の向上による感染症予防も期待できるとされています。
人間の腸内の役割については未だ解明されていない部分も多いのですが、腸内環境を改善することによって、体全体の8割もの免疫力を司っている腸が活性化し、免疫力を増進させてくれることが分かっています。
オリゴ乳酸はオリゴ糖と同じく腸の状態を改善し、さらに免疫力を上げることでアレルギーや更年期障害、自律神経失調症などのさまざまな疾病にも改善例をあげています。最初の発見からすでに30年が経過してもなお、高い有用性について研究が続けられています。
すでにオリゴ乳酸は腸内環境の改善や排便状況の改善などが確認されているため、将来的に機能性食品としての役割も期待されています。オリゴ糖単体では難しい腸内環境の改善をより効率的に進めてくれる製品として、更なる健康効果が注目されています。
現在、サプリメントや健康食品などに含まれ、健康素材に使われている原料は発酵食から偶然発見されたものが少なくありません。「健康に良い」という言い伝えを持ち、そこから詳しく研究されて発見された原料も数多くあります。
しかしオリゴ乳酸はガン治療のための薬を開発する中で偶然発見された素材であり、初めての発見はガン細胞を培養している最中に培養液の中に見出されました。製造が簡単であったため、製品化に向けて研究が進み、その結果として現在では腸内環境の正常化や便通の改善などに期待されています。
オリゴ糖は大豆やコーヒー豆など自然由来の食品に含まれており、特定保険食品の関与成分として合計9種類のオリゴ糖が認可されています。ヒトの持つ消化酵素で分解されず、大腸に届いて乳酸菌やビフィズス菌のエサになるため、毎日摂取することで腸内を少しずつ正常化に導きます。
オリゴ乳酸も「オリゴ」と付いているため、オリゴ糖に似た成分にも思えますが、オリゴ糖が単糖からできているのに対し、オリゴ乳酸は乳糖からできています。
どちらも腸内環境の正常化に向けて働きますが、オリゴ乳酸は一日にわずか0.3g程度の摂取でオリゴ糖の理想的な摂取量である1g~10gと同等の働きをするとされています。
腸を善玉菌が増えやすい酸性に導き、腸内環境を整えるオリゴ乳酸。近年、新たな腸活成分として注目を浴びています。オリゴ乳酸研究の第一人者・山口博氏監修のもと、その働きをまとめました。