抗がん剤研究の過程で生み出されたオリゴ乳酸は、腸内環境や血流改善効果が期待できる食品素材として注目を集めています。ここでは、オリゴ乳酸の種類と用途、特徴や効果について詳しくまとめました。腸内環境を改善したい、体調を整えたいという人は、オリゴ乳酸を含む食品を摂取することを検討するのも良いでしょう。
そもそも乳酸とは、乳酸菌とは違い生物ではなく生成物になります。人工的に乳酸を作ることも可能ですが、生体内で糖を利用する際にも乳酸は作られます。そのため、乳酸は人体を動かすエネルギー源とも言われ、エイジングケアや疲労回復、アレルギーや風邪の予防、血流や腸内環境の改善効果が期待できるとのこと。
生体内で作られる乳酸と人工的に生成したオリゴ乳酸を区別するために、オリゴ乳酸は合成方法などによりいくつかの種類に分けられます。オリゴ乳酸は色々な臨床実験が行われており、最終的には医薬品化が目標とされているため、今後様々な合成方法が出てくると予想されています。ここではオリゴ乳酸の種類をまとめました。
※下記はADシリーズとして分類された、実験や食品添加物として利用されているオリゴ乳酸です。
解糖系の生成物であるL-乳酸を原料とし、減圧下で加熱合成を行うことで生成されるもの(ナード製)
L-乳酸を原料とする減圧下での加熱合成法を改良したワンポット法で作られたオリゴ乳酸
L-ラクチドを原料とするLDAを使って環状部分を開き、エーテルで分画したものの不溶部を指す。
L-ラクチドを原料とするLDAを使って環状部分を開き、エーテルで分画したものの可溶部を指す。
L-乳酸を原料とする改良型の減圧下加熱合成法により生成された鎖状のオリゴ乳酸
多段階の合成で得られた高純度な環状オリゴ乳酸のAD307を、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロライドとDMAPによって環状にしたオリゴ乳酸
多段階の合成で得られた高純度な環状オリゴ乳酸のAD307の分子量が3大きいものを、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロライドとDMAPによって環状にしたオリゴ乳酸
多段階の合成で得られたオリゴ乳酸のエチルエステル体(エチルアルコールとエステル結合したもの)
多段階の合成で得られた高純度な環状オリゴ乳酸
多段階の合成で得られた高純度な環状オリゴ乳酸AD307の中でも、通常より分子量が3大きいもの
改良型の減圧下加熱合成法により生成された鎖状のオリゴ乳酸AD304を2,4,6-トリクロロベンゾイルクロライドとDMAPによって環状にしたオリゴ乳酸
多段階に合成した結果得られた高純度の鎖状オリゴ乳酸。構造内にアミノエチル基・カルボキシメチル基・ヒドロキシエチル基のいずれかが存在する誘導体である
[注1]AD-3研究会, 長戸康和『オリゴ乳酸物語 その発見から未来へ (メディカルサイエンスシリーズ)』( 東海大学出版部、2013年11月)
オリゴ乳酸は鎖状につながったものと環状のものによって体の中での役割が異なっていると考えられています。高純度のオリゴ乳酸を用いて実験をすることでより詳細な効果がわかることはもちろん、体内での吸収経路までの発見が期待できます。
また、特別な構造(官能基)を持つオリゴ乳酸は他の成分の誘導体やキメラ化合物の生成に役立つとの意見もあり、今後の研究が注目されている成分とも言えます。
腸を善玉菌が増えやすい酸性に導き、腸内環境を整えるオリゴ乳酸。近年、新たな腸活成分として注目を浴びています。オリゴ乳酸研究の第一人者・山口博氏監修のもと、その働きをまとめました。